一般財団法人環境イノベーション情報機構
100本以上の決議・勧告案を採択 IUCN第3回世界自然保護会議
【自然環境 その他(自然環境)】 【掲載日】2004.12.15 【情報源】外務省/2004.12.14 発表
2004年11月17日から25日にかけ、タイのバンコクで国際自然保護連合(IUCN)第3回世界自然保護会議が開催された。IUCNは79の国家、113の政府機関、798の非政府機関を会員に持つ、1948年設立の国際的な自然保護機関(注1)。
今回の会合では「人類と自然:たった1つの世界」をテーマに、「開会式」、「世界自然保護フォーラム」、「総会」の3プログラムが開催され、世界各国から閣僚、科学者、経済人、環境活動家など約5,000人が参加した。
このうち世界自然保護フォーラムでは、「生態系管理」、「健康、貧困、自然保全」、「生物多様性の損失と種の絶滅」、「市場、ビジネス、環境」の4テーマに分かれて合計約460のワークショップやシンポジウムが開催されたほか、総会では05−08年までのIUCNの活動方針、06−08年までの会費、新役員の選出、114本に及ぶ決議・勧告案の審議が行われ、100本以上の決議・勧告案が採択された。
決議・勧告案のうち日本に関係するものとしては、ジュゴン保護の観点から、普天間飛行場代替施設建設事業の代替案への環境影響評価実施を求める「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全に関する勧告案」が採択されたが、同案には日本政府が行っている自然環境保全対策が反映されていないことから、日本政府はこの勧告案への投票を棄権した。
また、日本政府は「公海における底引網漁業からの海山、深海珊瑚礁及び他の脆弱な深海生息地の保護」、「公海の生物多様性の保全及び持続的な管理」、「サメのヒレ切り漁業」に関する勧告案についても科学的根拠に乏しいとして、反対を表明したが、これら3案は多くのNGOが支持し、いずれも採択された。
なおこの結果について日本政府は、決議・勧告案の数が多すぎ十分議論されていないとし、今後、この会議での決議・勧告案の提出・審査・採択方法に再考が必要との見解を表明している。
(注1)2004年1月現在の会員数。【外務省】