一般財団法人環境イノベーション情報機構
再発見された核燃料サイクルコスト試算資料群を公開
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2004.08.06 【情報源】資源エネルギー庁/2004.08.05 発表
平成16年7月に公表した、(1)「核燃料サイクルの経済性試算について(平成6年2月試算)」や(2)「将来の使用済燃料対策の検討報告書 使用済燃料の直接処分料サイクルバックエンド(注1)費用の検討(平成10年3月試算)」以外にも、直接処分などさまざまなケースの核燃料サイクルコスト試算が複数、過去に作成されていたことが判明したとして、資源エネルギー庁は16年8月5日にこれらの再発見資料と(1)・(2)の資料に対するエネ庁としての分析結果を公表した。今回公表されたのは、新たに存在が再確認された(3)「平成6年2月試算に関するバックデータについて」、(4)総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル・国際問題ワーキンググループ第1回〜第7回配付資料・議事録、(5)エネ庁が昭和53年から平成5年までに作成した8資料(作成時期が不明な資料1つを含む)、(6)エネ庁以外の機関が作成した4資料、(A)(1)の内容を今回分析した「平成6年2月試算に関する当庁の分析について」、(B)同じく(2)を分析した「平成10年3月試算に関する当庁の分析について」。
このうち(A)では、(1)で試算された直接処分コストは使用済燃料処分についてのOECD試算単価(1トンあたり6,771万円)をそのまま使って計算したのに対し、再処理コストは高レベル放射性廃棄物処分についてのOECD試算単価(1トンあたり1,116万円)を約4倍にして計算したことが、直接処分コストが再処理コストより安く見積もられた原因の1つになっていると指摘したほか、(B)では、(2)は直接処分コストをスウェーデンで考えられていた処分方法を参考に試算し、再処理コストを当時日本で考えられていた処分方法に基づいて試算したが、そもそもスウェーデンの直接処分方法を日本に適用可能かどうかは検討されていない点に留意すべきとした。
なおエネ庁では、今後、原子力長期計画策定の検討材料に活用されることを期待して、これらの資料を原子力委員会に提出する方針。
(注1)核燃料サイクルの後半の工程。具体的には使用済燃料の冷却・再処理、回収ウラン・プルトニウムの再加工の各工程と輸送工程、各工程から発生する廃棄物の処理工程のこと。【資源エネルギー庁】