一般財団法人環境イノベーション情報機構
湖沼の水環境保全、排出量取引など施策の充実必要 総務省行政評価
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2004.08.05 【情報源】総務省/2004.08.03 発表
総務省行政評価局は平成16年8月3日、湖沼の水環境保全に関する政策について「効果が期待通りではなく、排出量取引なども含め、施策の充実を検討すべき」との評価結果を、政策を所管する農林水産省、国土交通省、環境省の3省に送付した。今回の政策評価の対象は「湖沼水質保全特別措置法」と同法に基づく「湖沼水質保全基本方針」による湖沼の水環境保全施策。
評価にあたっては、指定湖沼(注1)10湖沼と非指定湖沼から抽出した18湖沼について、関係行政機関、関係団体からの資料収集・ヒアリング、調査対象湖沼流域住民へのアンケートなどにより保全状況を調査した。
その結果、指定湖沼の水質は、昭和60年の湖沼水質保全特別措置法施行後に非指定湖沼の水質に比べ、若干改善傾向があることが認められるとされたが、本来の政策目標である水質環境基準や、湖沼水質保全計画の水質目標は施行から20年を経過しているにもかかわらず、大半の湖沼で未達成であるため、「期待される効果が発現しているとは認められない」と指摘された。
またこの結果を踏まえた改善の意見としては、(1)湖沼流域から流入したり、湖沼内部で発生する水質汚濁の機構解明と各種発生源からの汚濁負荷の的確な把握、(2)湖沼水質保全計画の見直しと計画に基づく施策の着実な実施、(3)有効な非特定汚染源対策の検討と着実な実施、汚水処理施設への接続促進と高度処理化、(4)排出量取引などの経済的手法の導入に向けた検討−−などの課題に取り組むべきとの内容がまとめられている。
(注1)湖沼水質保全計画に基づく各種の保全施策を講じることになっている湖沼。知事の申し出に基づき、内閣総理大臣が指定することになっており、現在10湖沼が指定されている。【総務省】