一般財団法人環境イノベーション情報機構
蛇紋岩系モルタル混和材7製品中に白石綿 メーカーに安衛法に基づく措置要請へ
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2004.07.08 【情報源】厚生労働省/2004.07.02 発表
「無石綿」などと表示され販売されている蛇紋岩を粉砕したモルタル混和材のうち、7製品が相当量の石綿を含んでいたことが(独)産業医学総合研究所などの調査で判明した。労働安全衛生法では現在、石綿のうち青石綿(クロシドライト)や茶石綿(アモサイト)、およびこれらを1%以上含む製品の製造・使用を禁止しているほか、16年10月1日からは白石綿(クリソタイル)などそれ以外の石綿を1%以上含む10品目の製品についても、製造が禁止されることになっている。ただし、モルタル混和材はこの製造禁止10品目には入っておらず、MSDS(注1)交付など労働安全衛生法に基づくの手続を行えば、利用が可能。
なお事態を重視した厚生労働省が蛇紋岩系モルタル混和材中の石綿成分の分析方法について専門家による検討を行った結果、蛇紋石のポリタイプ(層状構造をもつ結晶)中にある白石綿と、石綿ではないアンチゴライト・リザルダイト−−の3物質の化学組成や結晶構造が似ているため、これまでのX線回折分析法では、3物質を区別して検出・定量することが難しかったことがわかり、今後は白石綿のみ区別した定量分析が可能な「微分熱重量(DTG)法」により調査を行い、含有が確認されたものについては、安衛法に基づいた措置を実施すべきとの提言を盛り込んだ報告がまとめられた。
厚生労働省はこの検討結果を踏まえ、7製品の製造事業者に対し、(1)安衛法に基づく適切な表示とMSDS交付、(2)製造時労働者の防じんマスク使用など「特定化学物質等障害予防規則」に基づく措置徹底、(3)製品使用者への説明の実施−−を指導する方針。
(注1)化学物質等安全データシート。事業者が化学物質や製品を他の事業者に出荷する際に、相手方に成分や性質、取扱い方法などについての情報提供を行うために作成される。PRTR法対象物質についてはMSDS提供が義務化されている。