一般財団法人環境イノベーション情報機構
WTO農業交渉の枠組み合意に向け、食料輸入国10か国の農業担当閣僚会合開催
【エコビジネス 環境と経済】 【掲載日】2004.07.06 【情報源】農林水産省/2004.07.06 発表
2004年7月末のWTO農業交渉の枠組み合意に向け、7月5日にスイス・ジュネーブで、食料輸入国10か国(G10)の農業担当閣僚会合が開催された。この会合はスイスが主催し、日本、韓国、リヒテンシュタイン、モーリシャス、ノルウェー、台湾、ブルガリア、アイスランド、イスラエルが参加。10か国としての交渉方針を検討し「G10閣僚声明」を採択した。
なお、この「閣僚声明」は各国ごとに条件が異なる多様な農業を共存させるために、食料安全保障や農業の環境保全機能などの「非貿易的関心事項」を枠組みに反映させることや、異なる関心を持つ加盟国がともに参加し、透明性を持った議論を行える状況を確保することが必要だと指摘。
さらに枠組の内容については、(1)カンクン閣僚会議の交渉でバランスがとれなかった、関税削減などの「市場アクセス」、補助金や価格支持などの「国内支持」、「輸出競争」の3分野の扱いを同等にすべき、(2)農業改革の負担は全加盟国が同等に担うべき、(3)各国が国内農業保護を必要とみなしている要因に対処する柔軟性は、例外的な扱いではなく包括的な政策の不可欠な部分(柔軟性ボックス)として位置づけるべき、(4)関税に上限を設ける上限関税や関税割当(注1)の拡大義務付けは支持できない−−などの内容を盛り込んでいる。
なおG10閣僚会合後には、G10とグローサーWTO農業交渉グループ議長との会談が開催され、「閣僚声明」を含む議論の概要がグローサーに伝えられた。グローサー議長はこれに対し、「G10各国の立場は十分承知しており、今回の閣僚声明の内容を精査した上で各国・各グループが公平に参加した交渉過程を引き続き確保していきたい」と発言した。
(注1)比較的高税率の関税がかかっている品目について、一定の数量以内の輸入品に限り、無税か低税率の関税を適用する方式。【農林水産省】