一般財団法人環境イノベーション情報機構
メーカーに「再資源化義務」提言 FRP廃船リサイクル最終報告書
【ごみ・リサイクル リサイクル】 【掲載日】2004.06.07 【情報源】国土交通省/2004.06.07 発表
国土交通省は平成16年6月7日、15年度の「FRP(繊維強化プラスチック)廃船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」の結果を報告書にまとめた。FRP廃船は破砕が難しく、処理費用が高いことから海洋投棄や放置艇の沈廃船化などの問題が近年顕著になっている。このため同省では12年度からFRP廃船のリユース・リサイクルを進めるための「FRP廃船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」を進めてきた。
15年度のプロジェクトは(1)FRP廃船の解体、破砕、リサイクル技術の確立、(2)FRP船の劣化状況を診断し、船体の劣化・損傷個所のみを取り替えることができるリユース技術の開発、(3)FRP船リサイクルシステムを構築するために必要な制度の検討整備−−を行った。
このうちリサイクル技術については、14年度に開発したリサイクルプラントを改良しセメント焼成用原燃料の製造を確認するとともに、全国7か所でFRP廃船の収集、解体、破砕、選別、調合、リサイクルの各工程を一貫して行う総合実証試験を実施。開発した試験装置の性能、リサイクルシステムモデルの実効性を確認した。
一方リユース技術については、FRP船の劣化診断技術の研究や、FRP船の劣化・損傷箇所のみを取り替え可能な標準化船の開発に取り組み、こちらも標準化船が従来のFRP船と比べ経年劣化についての性能が劣らず、環境負荷も低いことを確認した。
さらにFRP船リサイクルシステムの構築については関係者の役割分担、費用負担、費用徴収方法など、リサイクルシステムが必要とする機能について課題を分析し、その結果、拡大生産者責任(注1)の考え方に基づき製造事業者に再資源化義務を課すこと、ユーザーにリサイクル処理費用の応分の負担を求めること、費用徴収は排出時を避けることが望ましいこと−−などの事項を検討結果としてとりまとめている。
FRPリサイクルシステム検討はこの報告書をもって所期の目標を達成し、終了した。
(注1)EPR製品の製造者がその製品の生産から廃棄までの環境影響に対して責任を負うべきとする考え方。【国土交通省】