高病原性鳥インフルエンザ緊急調査成果報告まとまる

【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2004.05.28 【情報源】環境省／2004.05.27 発表

　政府が科学技術振興調整費を活用し実施している「高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究」の成果報告が、２００４年５月２７日までにまとまった。
　この研究は２００４年１月に日本国内で高病原性鳥インフルエンザが７９年ぶりに発生したことを受け、農水省、環境省、文科省、厚労省が協力して実施しているもので、具体的には（１）国内で検出されたウイルスのゲノムや野生鳥類の感染状況解析を通じウイルスの由来を明らかにする研究、（２）検出ウイルスの病原性や鳥類・ほ乳類に対する伝播可能性を明らかにする研究、（３）ヒト用の診断法やワクチン開発などのヒトへの感染予防対策に関する研究−−が取り組まれていた。
　なお今回の成果報告では（１）について、国内の発生４事例は韓国での発生事例とウイルス遺伝子型が９９％以上一致したが、タイやベトナムでの発生事例とは遺伝子型が異なっていたこと、４事例周辺の野鳥捕獲検査で検査対象になった野鳥２９２羽、水鳥・カラスの糞５７７検体のすべてで感染事例がみつからなかったこと−−が報告され、（２）についてはカラス、ムクドリ、カモ、インコへの感染性、マウスへの弱い病原性が確認されたこと、（３）については、ウイルスを弱毒化しワクチン候補株を作製したこと、ウイルス検査法として高感度簡易遺伝子検出キットの開発が成功したこと、臨床診断のための「診断基準案」と「治療予防マニュアル案」を策定したこと−−がまとめられている。【農林水産省】