一般財団法人環境イノベーション情報機構
積水化学、「カーボンナノチューブ温度差発電シート」の実用化へ実証実験を開始
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2016.04.22 【情報源】企業/2016.04.19 発表
積水化学工業は、「カーボンナノチューブ温度差発電シート」の実用化に向けて実証実験を始める。試作品で有機系従来品と比べて大幅な性能向上が見込めることを確認したことから、開発品サンプルの提供をはじめとする実用化に向けた実証実験を進める。これにより、性能をさらに高めるとともに、機器開発や生産プロセスなど供給網の各段階で、パートナー探しに着手する。製品化は2018年度を目指す。カーボンナノチューブ温度差発電シートは、半導体性カーボンナノチューブの両端に温度差を与えると電力が発生する現象「ゼーベック効果」を利用した発電装置だ。カーボンナノチューブは炭素原子で構成する直径0.4〜50n(ナノ)m(1nmは100万分の1mm)、長さ約1〜数10μ(マイクロ)m(1μmは1000分の1mm)の円筒状の炭素材料を指す。
積水化学は奈良先端科学技術大学院大学が取り組むカーボンナノチューブ熱電変換材料開発に参画し、カーボンナノチューブ不織布で温度差発電シートを試作した。試作シートは縦横123o、68o、重さ5g以下、薄型、軽量で柔軟性があり、低温度の領域でも発電できる(高温側は50〜150℃)特長を持つ。毒性物質を含まないため環境への親和性も高い。
開発中のカーボンナノチューブ温度差発電シートは、無線センサーのエネルギーハーベスティング(環境発電)用途を想定する。乾電池や太陽電池では対応が難しい高温多湿で定期的な交換が困難な設備のセンサー電源としてビルや大型商業施設、工場、輸送機器での活用を見込む。今後、電子部品、ユニット、センサー機器のパートナーメーカーを探す。