パナソニック、LED照明の長期使用や軽量・高輝度化を可能にする成形材料開発

【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2016.04.11 【情報源】企業／2016.04.06 発表

　パナソニックは、屋外や車室などに使われるLED（発光ダイオード）照明の長期使用や軽量・高輝度化を可能にする光拡散性ポリプロピレン（PP）樹脂成形材料「FULL BRIGHT（フルブライト）PP」を開発した。4月に量産を始める。従来の光拡散性PP樹脂成形材料では困難とされていた複雑な加工ができるようになり、設計の自由度を高められる。

　フルブライトPPは、LED照明の光源周辺に輝度を均一にするために設ける拡散板の素材だ。現在はポリカーボネートやアクリル系樹脂が使われているが、LED光源の設置環境の多様化に伴い一層の耐光性、耐水・耐湿性、耐薬品性や高温での色調維持・強度が求められることから開発した。さらにPP樹脂成形材料の低比重の特性で軽量化する。

　これまでの光拡散性のPP樹脂成形材料は流動性が低く、“射出延伸ブロー成形”への適用に向かなかった。フルブライトPPは独自の溶融制御を設計する技術で高い流動性と加工性を実現して適用を可能にした。射出延伸ブロー成形は、樹脂を試験管状に成形した後に金型を変え、柔らかいうちに空気を吹き込んで膨らませてボトル状の成形品を作る方法を指す。

　これによってデザイン性が高いLED照明の成形や曲面仕上げなどの複雑な設計にも対応する。さらに、耐光性が付与できる樹脂設計技術で従来のPP樹脂にない耐光性を可能にするとともに、耐久性を実現した。紫外線にさらされても信頼性を確保する。加えて、高比重の光拡散ポリカーボネートやアクリルと異なり、照明器具の軽量化に貢献する。