一般財団法人環境イノベーション情報機構
キリン、岩手のホップ畑で収穫後の秋の生き物調査、昆虫は過去最多種類を確認
【自然環境 生物多様性】 【掲載日】2015.12.04 【情報源】企業/2015.11.30 発表
キリンホールディングス傘下のキリンは、岩手県遠野市のホップ畑で収穫後の秋の生き物調査を9月に実施した。昆虫類は過去の調査の中で最多の種類を確認した。一方、旧耕作地では多くの生き物は観察されなかった。春(5月)、夏(8月)の調査と併せ、林、小川、水田といった自然の中でホップ畑が里地里山を構成する役割が見えてきたという。秋の調査では、鳥類13科19種と、昆虫47科104種が見付かった。これまでで最多の種類を観察した昆虫では、チョウ類、ハチ類といった飛翔性が特に多かった。ホップ畑周辺の下草や雑木林に昆虫が蜜を得られる植物や、幼虫の食草になる植物が数多く生息していることが理由とみている。近くの小川ではトンボの幼虫のヤゴやカワゲラが確認できた。
以前ホップ畑だった近隣の旧耕作地の調査では、生き物は多く観察されなかった。休耕作地は、クズやヨモギなど繁殖力の強い特定の植物が占有し、植物の種類が少ないことが要因と考えられる。それに対してホップ畑は、年に何度か行う下草刈りでクズやヨモギなどの生育が抑えられ、さまざまな植物が育つため昆虫や鳥の多様性につながっている。
春は鳥類21科28種、昆虫49科94種、夏は鳥類12科15種、昆虫44科89種を観察している。秋を加えた3回の調査を通して予想を超える多くの生き物が確認できたといい、ホップ畑が里地里山の構成要素の1つになっていることが証明された。加えて、手入れをしていない休耕作地より人の手が入ったホップ畑の方が生き物の多様性があることも分かった。