一般財団法人環境イノベーション情報機構
JFEスチール、製鋼工場の溶銑予備処理プロセスで環境負荷を低減する技術開発
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2015.06.22 【情報源】企業/2015.06.17 発表
JFEスチールは、製鋼工場の“溶銑(せん)”予備処理プロセスで環境負荷を低減する技術を開発した。脱硫の効率を高める方法「脱硫剤投射法」と、脱硫処理後のスラグ(かす)を高温状態のままで再利用する仕組み「スラグホットリサイクル法」となる。全社の製鋼工場内の機械かくはん式溶銑脱硫設備に脱硫剤投射法を導入した。溶銑予備処理は高炉からの溶銑(溶けた銑鉄)に含まれるケイ素、硫黄、リンなどの不純物をあらかじめ除去する脱硫などのプロセスを指す。機械かくはん式溶銑脱硫設備は、溶銑の上から自然落下させて添加する直径1mm以下の微細な脱硫剤をかき回しながら溶銑に巻き込ませる。脱硫剤表面と溶銑の化学反応で脱硫精錬が進む。
しかし、巻き込む際に脱硫剤が直径数mm〜数十mmの球状に凝縮成長し、内部が化学反応に役立たない課題があった。脱硫剤投射法は、投射用のノズルを設置して高速の搬送ガスとともに脱硫剤を溶銑上に吹き付ける。脱硫剤を微細の状態のまま直接溶銑に添加できるため凝縮成長が抑えられ、反応が促進して効率が1.3倍向上する。
スラグホットリサイクル法は、脱硫精錬後に排出した脱硫スラグを次の溶銑処理の際に高温状態で再利用する。これによって、これまで脱硫スラグ排出時に放熱されていたスラグの熱量を回収するほか、脱硫スラグを繰り返し活用できる。スラグの脱硫能力を最大限に発揮させられ、資源の節約と環境負荷低減を実現する。【JFEスチール(株)】