一般財団法人環境イノベーション情報機構
アサヒグループHDなど、砂糖の生産性が高まるバイオエタノール生産の新技術を開発
【エコビジネス 環境技術】 【掲載日】2012.10.11 【情報源】企業/2012.10.09 発表
アサヒビールを傘下に持つアサヒグループホールディングスは、サトウキビの砂糖の生産性を向上させるバイオエタノール生産技術を、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)九州沖縄農業研究センターと開発した。砂糖とエタノールの生産順序を従来と逆にして、先にエタノールを作る「逆転生産プロセス」を世界で初めて実現した。バイオエタノールを生産することで食料とエネルギーの同時増産が可能になり、需要に応じて生産量や比率も調節できる。逆転生産プロセスは、ショ糖を主成分にする砂糖の生産を阻害するブドウ糖、果糖など還元糖と呼ばれる糖だけを選んでエタノールに変換する酵母を使う。この酵母で還元糖を除去しながらエタノールを生産し、その後、砂糖を結晶にする。
従来使用していた酵母は、還元糖とともにショ糖もエタノールに変換してしまうが、逆転生産プロセスは、還元糖だけをエタノールに変換する「ショ糖非資化性酵母」を使う。実際にサトウキビを搾った汁で実験したところ、ショ糖の分解・消費がなく、還元糖をほぼ完全に消費してエタノールを生成。続くショ糖を主成分とする砂糖の結晶化でも回収率が大幅に高まった。
両者はこれまでに、単位面積あたり2倍のサトウキビが収穫できる高バイオマス量サトウキビを開発したが、搾った汁の中に多量の還元糖が含まれ、多くのショ糖が分解されて結晶化できないことから砂糖の回収率が低くなり、エタノールと砂糖の生産率を調整できないことが課題だった。逆転生産プロセスはこうした問題を解決する。今後、2015年の実用化を視野に技術向上を進める。【アサヒグループホールディングス(株)】