一般財団法人環境イノベーション情報機構
東京電力、7月末の供給力を向上させた一方で、8月末は下方修正し予備率1.1%
【エネルギー 省エネルギー】 【掲載日】2011.07.06 【情報源】企業/2011.07.01 発表
東京電力は、火力発電所の復旧前倒しや自家発電の購入などで7月末の電力供給力を向上させた一方、8月末は、全国各地で原子力発電所の再稼働が困難になっていることから、他の電力会社からの電力融通が見込めずに下方修正した。供給力の余裕を示す予備率はわずか1.1%に落ち込む。状況次第で計画停電を実施しなければならない水準となり、東電は回避に向けて一層の節電を求める。東電が想定する7、8月末の最大電力需要は5500万kW。これに対して、5月13日時点で7月末に5520万kW、8月末に5620万kWの供給力の見通しを立てた。今回、東日本大震災で被災した広野火力発電所(福島県広野町)の復旧工程を早めるとともに、自家発電の余剰分の購入によって7月末の供給力を5680万kWに160万kW引き上げ、予備率を3.3%に高めた。ただ、予備率の適正水準の8〜10%にはほど遠い。
8月には柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市・刈羽村)で稼働中の2基の原子炉が定期点検で停止することから、8月末の供給力は7月末を下回る。5月13日の段階では、7月末、8月末分とも他の電力会社からの融通を100万kW盛り込んでいたが、電力各社は定期点検後の原発が再稼働できない状況にあり、除外した。この結果、8月末の供給力は5560万kWと、60万kW下がり、予備率は1.1%に低下する。
東電は、計画停電を原則行わない方針を継続していく考えで、夜間に電気でくみ上げた水を昼間に流して発電する揚水発電の活用や、他の電力会社に余力が出た場合に電力融通を要請するなど、さまざまな手段を講じていく。需要面でも、電力使用制限が発動された大口需要家の使用量低減に加え、一般家庭の節電が重要になり、インターネットでの情報提供などで協力を訴える。【東京電力(株)】