一般財団法人環境イノベーション情報機構
3歳と6歳児計約18万3,000人が対象 20年度大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査結果を公表
【大気環境 大気汚染】 【掲載日】2010.07.16 【情報源】環境省/2010.07.16 発表
環境省は平成22年7月16日、全国38地域・約9万人の3歳児と39地域の約9万3,000人の6歳児を対象にした20年度の「大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査」の結果と、8年度〜20年度の3歳児調査及び16〜20年度の6歳児調査のそれぞれを統合したデータを用いた経年解析等を行った。また、6歳児調査回答者のうち16〜17年度に実施した3歳児調査時に回答のあった者について追跡解析を実施し、それらの結果を発表した。この調査は地域住民の健康状態と大気汚染との関係を定期的・継続的に監視し、必要に応じて適切な措置を講じることを目的として毎年実施されているもので8年度に調査が開始されている。
これらの解析の結果、6歳児調査においては、昨年度に大気汚染(SPM)とぜん息との有意な関連性を示す結果が初めて認められたが、今年度は認められなかった。一方、3歳児調査では過去13年間、オッズ比が1を超えてはいるものの有意な関連性は認められていなかったが、今年度はオッズ比による検討において大気汚染(SPM)とぜん息に有意な関連性(オッズ比1.09、95%信頼区間[1.01〜1.18])が認められた。SPM以外の大気汚染物質とぜん息については、3歳児調査及び6歳児調査ともに、今年度も有意な関連性は認められなかった。環境調査における大気汚染(SPM)については全般的に低下傾向にあり、さらに、環境調査と健康調査の関連性における対象者別背景濃度区分ごとの呼吸器症状有症率の関係、調査対象地域ごとの対象者別背景濃度の平均値と呼吸器症状有症率の関係においても大気汚染物質濃度が高くなるほどぜん息有症率が高くなるような関連性は認められなかった。
なお、ぜん息以外の症状については、かぜひき回数(5回以上)で大気汚染物質濃度が高くなるほど有症率が高くなる傾向がみられたが、ぜん鳴、ぜん鳴(かぜなし)ではみられなかった。
同省では、3歳児調査及び昨年度の6歳児調査のオッズ比による検討においてぜん息と有意な関連性が認められ、また、一部の地域でぜん息有症率の上昇との関連性を示す結果がみられたため、ぜん息との関連性について地域特性も踏まえて、今後も注意深く観察するとしている。【環境省】