一般財団法人環境イノベーション情報機構
アスベスト被害救済制度の医療費適用医学判定 45件への適用、36件の判定保留が決定
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2007.06.27 【情報源】環境省/2007.06.26 発表
環境省は平成19年6月26日、(独)環境再生保全機構から要請があった111件(注1)の中皮腫・肺がん罹患事例について、アスベスト被害救済制度による医療費を適用すべきかどうかの医学判定を行った。「アスベスト救済法」では、時効により労災補償の対象とならないアスベスト健康被害認定患者に環境再生保全機構を通じ、医療費などの救済給付金を支払うとしている。患者の認定は、環境再生保全機構から医学判定の申し出が行なわれた事例に対して、環境大臣が中央環境審議会の意見を聴いた上で判定を行い、この判定結果にもとづき、機構が行うことになっている。
今回、判定が求められた事例は、中皮腫に罹患したとされる事例76件と、肺がんに罹患したとされる事例35件。
判定の結果では、うち45件(中皮腫38件、肺がん7件)が「アスベストが原因で中皮腫・肺がんにかかった」、30件(中皮腫15件、肺がん15件)が「アスベストが原因とはいえない(中皮腫ではない)」とされたが、残り36件(中皮腫23件、肺がん13件)は「アスベストが原因で中皮腫・肺がんにかかったかどうか不明であり、判定を保留する」とされた。
これまでの判定分とあわせると、医療費適用対象とする罹患事例の累計は959件(中皮腫760件、肺がん199件)となった(注2)。
なお判定が保留された事例に対しては、(独)環境再生保全機構が申請者や医療機関に必要資料の追加提出を求め、改めて判定を行うことになる。【環境省】
(注1)うち57件は以前に判定保留とされたもの。今回資料が提出があったため、改めて判定された。
(注2)19年6月26日には、このほかにも、特別遺族弔慰金などを請求している34件(中皮腫2件、肺がん32件)に関しても、別途医学判定が行われた。特別遺族弔慰金や特別葬祭料を請求できるのは法施行前の死亡者の遺族に限られている。34件中7件(すべて肺がん)は「アスベストが疾患の原因」、12件(中皮腫1件、肺がん11件)は「アスベストが疾患の原因とはいえない(中皮腫ではない)」と判定された。これ以外の15件(中皮腫1件、肺がん14件)は判定保留とされ、19年6月26日時点で特別遺族弔慰金などの支払い対象となった案件の累計は68件(中皮腫1件、肺がん67件)となった。