一般財団法人環境イノベーション情報機構
中環審が「新・生物多様性国家戦略の第4回点検結果」を踏まえた意見提出
【自然環境 生物多様性】 【掲載日】2007.06.21 【情報源】環境省/2007.06.21 発表
中央環境審議会は2007年6月21日付けで、環境大臣に「新・生物多様性国家戦略の第4回点検結果」を踏まえた、今後の生物多様性施策についての意見を提出した。「生物多様性国家戦略」は、生物多様性条約に基づき、生物多様性保全、持続可能な利用に関する日本政府の施策内容を体系的に取りまとめるとともに、その目標・取組みの方向性を示したもの。その「第4回点検結果」は、02年3月策定の新・生物多様性国家戦略にもとづく施策のうち、主に05年度以降に実施された取組みを関係省庁が自主点検し、9省庁から構成される「生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議」がまとめたもの。
国家戦略の中で生物多様性の問題点として指摘された、(1)人間活動による種の減少・絶滅、生態系破壊の危機、(2)里地里山など人間の働きかけにより成立してきた場での自然の質の変化、動植物減少、(3)移入種による日本固有の種への影響−−の「3つの危機」に対して、ラムサール条約湿地登録湿地20か所の増加、12の自然再生推進協議での全体構想策定、農水省の「農村景観・自然環境保全再生パイロット事業」の創設、国の重要文化的景観の初選定、外来生物法にもとづく措置の進展−−などによる取組みが進んでいることを報告したほか、保全・再生地域間のネットワーク形成、里地里山地域でのモデル的取組みの成果の全国への普及、外来生物法の実施体制強化など、今後の課題についての内容もまとめていた。
今回の中環審の意見は、この点検結果に対し、「戦略に基づく施策の実施状況を網羅的に把握・整理するだけでなく、その効果を指標化することが必要」と指摘。指標の開発にあたっては「国民の意識改革につながるようなわかりやすい評価を行うべきだ」と提案したほか、全施策をただ点検するのでなく、必要に応じて項目を重点化し、深く掘り下げること」も求めた。
さらに、19年度に策定が予定されている「第3次生物多様性国家戦略(注1)について、(1)モデルとなりうる自治体の検討過程での関与、(2)保全対象を明確にした里地里山保全、(3)干潟・海岸の生物多様性保全に関する漁業者らの理解の向上、関係行政機関の連携(4)省の枠を超えた生物多様性に関する教育の協力体制強化、(5)公共事業の計画段階・施工段階で使用できるチェックリストの検討、(6)自治体や民間企業など多様な主体の参画−−などの必要性を提言している。【環境省】
(注1)14年3月に「地球環境保全に関する関係閣僚会議」で決定された現行の「新・生物多様性国家戦略」には、策定後約5年をめどに、見直しを行うことが規定されている。