一般財団法人環境イノベーション情報機構
スターン・レビューの評価結果を公表 国環研とAIM研究者グループ
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2007.02.16 【情報源】国立環境研究所/2007.02.16 発表
国立環境研究所とAIM(アジア太平洋統合評価モデル 注1)の研究者グループは、スターン・レビュー「気候変動の経済学」に対する研究者としての評価結果を「スターン・レビューに対するコメント」としてまとめ、07年2月16日付けで公表した。スターン・レビューは、英国気候変動・開発政策の経済担当政府特別顧問であるニコラス・スターン博士が英国のブレア首相とブラウン財務大臣の委託を受けてまとめた気候変動の科学を基礎にした経済分析。
気候変動への対処が必ずしも経済成長を阻害するものではなく、その他の環境対策や貧困対策とも共通の便益があることなどの指摘が盛りこまれており、06年12月にケニアで開催された気候変動枠組条約の第12回締約国会議(COP12)でも紹介された。
今回のコメントは「気候変動の被害は長期にわたり甚大である」、「気候変動を回避するための対策コストは高くない」、「早期の対応は、経済的に有利である」とするスターン・レビューの結論が、既存の研究から大きくはずれない範囲であることを確認するとともに、これまでの主流派経済学の分析とは異なり、「温暖化による影響は長期の視点で論じなければならない」と主張した点に特色があると指摘。
また、綿密なレビューに基づき、現時点まで判明している科学的知見のみからでも、「本格的かつ大規模な温暖化抑制政策は、高い経済的合理性を持つ」という結論を導き出すことに成功したと高く評価している。
なお、国立環境研究所とAIMの研究者グループは、環境省と駐日英国大使館が企画・監修する、スターン・レビューの日本語版作成にも協力を行っている。
(注1)AIMはアジア太平洋地域の地球温暖化対策評価のための気候モデル。国立環境研究所の温暖化影響・対策研究に携わる研究者を中心としたチームが開発を続けている。【国立環境研究所】