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「倫理意識が薄かった当時の組織風土などが原因」 福島第一1号機の復水器出口海水温度データ改ざんに対する東電・再発防止策報告

エネルギー 原子力】 【掲載日】2007.01.11 【情報源】原子力安全・保安院/2007.01.10 発表

 東京電力(株)福島第一原発1号機の復水器出口海水温度(注1)に関するデータ改ざんが平成18年12月に確認された件について、同社は19年1月10日までに原因や再発防止策に関する報告をまとめ、原子力安全・保安院に報告した。
 このデータ改ざんは、水力発電施設での測量データ改ざん、無届け改修工事の実施、火力・原子力の発電設備での冷却用海水の温度測定値の改ざんなど、発電施設での不正行為が次々にあきらかになったことを踏まえ、保安院が18年11月30日付けで一般電気事業者らに指示した、水力、火力、原子力発電設備の点検の過程でみつかったもの。
 改ざん方法としては、プラントの運転状態を監視・記録している「プロセス計算機」という装置で、復水器出口の海水温度を実際より1℃下げて表示する設定がされていた。
 提出された報告によると、表示設定は、昭和60年11月に、プロセス計算機の復水器入口温度の数値を実測値より1.2℃あげて表示するよう改ざんが行われ、その後いったんこの改ざんが解消されたが、昭和63年に改めて、復水器出口温度の数値を1℃下げる設定改ざんが行われ、この状態が平成18年12月13日まで継続していたという。
 東電はこの改ざんの根本原因に「社会の信頼の応えようとする倫理意識が薄く、改ざんが許されると勘違いした当時の組織風土・組織運営上の問題、プラントの基本設計に関わる事項を組織的に解決しなかった品質保証上の問題、プロセス計算機を点検の対象外とした点検体制に対する問題」などがあると分析。
 再発防止策としては、複数部門が連携し課題を解決する仕組みの強化、データの位置づけ・管理方法の明確化、技術者に対する倫理教育の強化、プロセス計算機の設定変更に対するプログラム履歴管理の強化−−などの内容が示されており、これらの再発防止策の展開に関する計画を19年3月までに策定し、実行に移すとしている。 
 なお、報告を受けた保安院は、今後報告内容をさらに精査し、厳正に対処していく方針。

(注1)原子力発電所では、タービンで使用された蒸気の冷却用に、取水口から海水を取水し、復水器で熱交換した後に放水口から温排水として海に戻している。また取水した海水温度と放水した海水温度を監視している。【原子力安全・保安院】

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