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環境ニュース[国内]

ハフニウム板型制御棒のひび・破損、さびと中性子照射が原因

エネルギー 原子力】 【掲載日】2006.06.01 【情報源】原子力安全・保安院/2006.05.31 発表

 原子力安全・保安院は平成18年5月31日までに、ハフニウム(注1)板型制御棒のひび・破損についての原因究明と対策に関する報告書をまとめ、公表した。
 ハフニウム板型制御棒については、18年1月に東京電力(株)福島第一原発6号機に使用されていた制御棒にひび・破損がみつかったことをきっかけに、全沸騰水型原発のハフニウム板型制御棒に対する調査が実施されており、これまでに442本の同制御棒について点検が終了し、うち59本(使用済み45本、使用中14本)にひび・破損の発生が確認されている。
 今回の報告は、ひび・破損がみつかった原発の設置事業者が実施した調査結果や、保安院が独自に専門機関に依頼して行った分析結果を踏まえて、ひび・破損の発生原因を推定するとともに、原因にもとづいた今後の対策をまとめたもの。
 原因は、制御棒のハフニウム板とハフニウム板を覆っているステンレスのカバーの間に発生したさびが、中性子照射を受けることにより、「照射誘起応力腐食割れ」という特殊な割れを進展させたためと推定されており、この原因にもとづいた対策としては、(1)1平方センチあたり4.0×10の21乗n以上の熱中性子照射量を受けた制御棒を、制御棒の構造健全性が原子炉制御に影響を与えない全挿入位置で使用する、(2)現在、原発設置事業者が行っている停止中・運転中の原発でのハフニウム板型制御棒のひび・破損確認調査を継続する、(3)今後定期事業者検査実施時に毎回、ハフニウム板型制御棒全数の外観点検を行う、(4)原発設置事業者と制御棒製造メーカーが協力し、ハフニウム板型制御棒の設計変更についての検討を進める、(5)保安院で制御棒の技術基準の検討、制御棒の劣化メカニズムの研究を進める−−などの内容が示されている。
 このほか、ひび・破損が確認された福島第一6号機、3号機、浜岡3号機の制御棒に対して、実際のひびより厳しい条件で耐震性評価を行った結果として、「全挿入位置で使用した場合には、耐震技術基準を満たす健全性が確保されている」という評価結果が報告されている。

(注1)ハフニウムは原子番号72の元素。チタン族元素の一つで熱中性子の吸収断面積が大きいため、原子炉の制御棒の材料に利用されている。制御棒は炉心内で生成される中性子数を調整し、原子炉出力を制御する棒または板状物質。【原子力安全・保安院】

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