一般財団法人環境イノベーション情報機構
福島第一2号機の原子炉再循環ポンプのインバータ故障 電流調整基盤の誤作動が原因
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2006.05.19 【情報源】原子力安全・保安院/2006.05.18 発表
平成18年3月に東京電力(株)福島第一原発2号機(沸騰水型、定格電気出力:78万4,000キロワット)で、原子炉再循環ポンプ(注1)の制御インバータ(注2)に警報が発生、ポンプが自動停止したことから、電気出力が低下した件について、東電は原因と対策についての報告書をまとめ、18年5月18日付けで原子力安全・保安院に提出した。福島第一2号機では、16年9月、17年10月にも同様の出力低下事故が発生しており、故障した部品を新品に交換するなどの対策が講じられていた。
今回の報告ではトラブルの原因を、原子炉再循環ポンプ制御インバータ主回路に大きな電流が流れた場合に調整を行う「短絡電流検出基板」が誤って主回路の保護機能を作動させた結果、主回路内に大きな電流が流れている状態でインバータのスイッチの役目を果たす「GTO(注3)」を急速にしゃ断し、「GTO」5個が傷ついたためとしている。
また対策としては、(1)破損したインバータ部品の新品への交換、(2)短絡電流検出基板への誤作動防止回路の追設、(3)全GTOがオンとなり、かつGTOに大きな電流が流れている状態での、GTOしゃ断タイミングの調整を行う回路変更−−が示され、保安院もこれを妥当とした。
(注1)原子炉圧力容器の中の冷却水を循環させるポンプ。
(注2)直流電源を所定の周波数の交流電源に変換する装置。これにより、原子炉再循環ポンプを駆動する電動機の回転数を制御し原子炉冷却材の流量調節を行う。
(注3)ゲート ターン オフ サイリスタの略。半導体の一種でスイッチの役目があり、信号を加えることで電流を入り切りできる機能を持つ。【原子力安全・保安院】