一般財団法人環境イノベーション情報機構
アスベストにさらされた経路不明25人 兵庫県内中皮腫死亡者143人への調査で判明
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2006.05.08 【情報源】環境省/2006.05.08 発表
平成18年4月27日に開催された、環境省の「第7回石綿の健康影響に関する検討会」で、兵庫県内を対象としたアスベスト(石綿)による健康影響実態調査の報告がまとめられた。この調査は、兵庫県内で14年〜16年に中皮腫(注1)で亡くなった人について、(1)職業歴や居住歴に関する遺族への聞き取り調査、(2)医療機関のカルテによる職歴調査−−を行うとともに、(3)昭和30〜40年代の県内アスベスト取扱い施設の配置状況を調べたもの。
このうち聞き取り調査は、県内で14年〜16年に中皮腫で亡くなった222人のうち、遺族の同意が得られた143人について実施。
労災認定を受けた人が21人、主に仕事場を通じてアスベストにさらされたと思われる人が87人と多かったが、これ以外に、アスベストが付着した作業着の洗濯などが原因と思われる人が6人、仕事以外でのアスベスト取扱い施設への立ち入りが原因と思われる人が2人、吹き付けアスベストなどの屋内環境でのばく露が疑われる人が2人いた。またアスベストにさらされた経路が特定できない人も25人にのぼっていた。
昭和30〜40年代の兵庫県内のアスベスト取扱い施設を調べた結果では、109のアスベスト取扱い施設があったことが把握され、うち44施設が尼崎市、37施設が神戸市に存在していたことがわかった。
アスベスト取扱い施設が湾岸の工業地帯に集中していた神戸市については、居住歴があった中皮腫死亡者49人中、アスベストにさらされた経路が特定できない人は7人だったが、一般住宅に比較的近接して施設が立地していた尼崎市では、居住歴があった中皮腫死亡者50人中、アスベストにさらされた経路が特定できない人は16人と神戸市より高かった。
なお環境省は今回の結果を受け、アスベストにさらされた経路が特定できない人が相対的に多い尼崎市でのより確度が高い疫学的調査の実施、アスベスト取扱い施設が多い他地域での実態調査と今回の調査との比較などを、今後行っていくとしている。
(注1)中皮腫はその発症原因のほとんどがアスベストによるものとされている。【環境省】