一般財団法人環境イノベーション情報機構
05年の地球全体と日本のオゾン層状況報告書まとまる
【地球環境 オゾン層】 【掲載日】2006.04.28 【情報源】気象庁/2006.04.28 発表
気象庁は2005年の地球全体と日本のオゾン層の状況をまとめた「オゾン層観測報告:2005」を06年4月28日までにまとめた。地球全体のオゾン層の長期的な傾向としては、低緯度地域を除いてオゾン全量(ある地点の上空のオゾン総量)の減少傾向は、1980年代から現在まで継続して確認されており、90年から05年の平均オゾン全量は、80年以前と比較すると南半球で4.8%、北半球で3.3%、地球全体の平均で4.0%減少したとされている。
90年代半ば以降の北半球に限ってみると、オゾン全量はほとんど一定もしくは緩やかな増加傾向がみられ、日本国内でも、90年代以降はオゾン全量にほとんど変化がないか、緩やかな増加傾向が認められるとされているものの、報告は「成層圏の塩素量の減少はわずかであり、減少に伴ってオゾン全量が増加に転じたとみることはできない」と分析している。
また05年の観測結果としては、(1)北緯60度から南緯60度の地域の平均で1年を通して、オゾン全量が79〜92年の平均実績データより少ない傾向にあったこと、(2)北半球高緯度地域で1月から3月にかけ、オゾンホールと同様な原因で上空オゾンが破壊され、2、3月にグリーンランド付近でオゾン全量が実績データより20%以上少なかったこと−−などが報告されている。
05年の南極上空のオゾンホールが依然として大規模に発達したことについては、「オゾン破壊を促進する成層圏のマイナス78℃以下の低温域が例年より広範囲に広がったため」と分析されている。
なお気象庁は、「モントリオール議定書が完全に遵守されたとしても、オゾン層は今後10年程度は破壊されやすい状態だと予測されているほか、05年にはオゾン層の回復がこれまでの予測よりも遅れるという研究も発表されている。今後ともオゾン層の状況を注意深く監視する必要がある」と注意を促している。【気象庁】