一般財団法人環境イノベーション情報機構
中環審、水生生物保全を考慮した排水規制の方向性を答申 亜鉛の一律排水基準強化を提言
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2006.04.28 【情報源】環境省/2006.04.28 発表
2006年4月28日に開催された、中央環境審議会水環境部会で、水生生物保全を考慮した排水規制に関する報告がまとめられ、同日、中央環境審議会会長から環境大臣に答申が行われた欧米諸国では、1970年代から水生生物保全の観点からの水質目標が設定されていたが、日本の水質目標の設定は従来、人の健康保護や水域の富栄養化防止に重点が置かれ、水生生物保全の観点を中心に据えた水質目標は設定されていなかった。
このため、中環審は03年9月に、水生生物保全を目的として「全亜鉛」を項目とする水質環境基準設定などについて答申。この答申にもとづき、03年11月に「全亜鉛」が環境基準に設定された。
ただし、過去に自治体が測定したデータを遡ってみると、1992年からの10年間に、全亜鉛の環境基準値超過が2年以上確認された地点は、陸水域で446地点(測定点中の15%)、海域で54地点(同8%)にのぼり、その分布が全国にわたっている。
今回の答申は、このように全国的に「全亜鉛」の環境基準超過がみられること、その排出業種が多岐にわたっていることなどから、「水質汚濁防止法」にもとづく亜鉛に関する一律排水基準を、現行の1リットルあたり5ミリグラムから、1リットルあたり2ミリグラムに強化することを提言している。
ただし、現時点で「1リットルあたり2ミリグラム」という排水基準達成が困難な業種については、経過措置として5年を適用期間とする暫定排水基準値を設定することが示されている。【環境省】