一般財団法人環境イノベーション情報機構
海風の加熱も要因 05年夏季の関東地方のヒートアイランド現象解析結果
【環境一般 まちづくり】 【掲載日】2006.03.31 【情報源】気象庁/2006.03.31 発表
気象庁は2006年3月31日、同庁が開発した「ヒートアイランド解析システム」で05年夏季の関東地方のヒートアイランド現象を解析した結果を「ヒートアイランド監視報告」としてまとめ、同庁ホームページで公表した。報告は04年に続くもので、04年の分析同様、夏季の風向別の典型的な気温や風分布を示したほか、ヒートアイランド現象の3次元構造など、より詳細な解析を行った。
ヒートアイランド現象の3次元構造の解析結果としては、日中上空約1,000メートルの厚さで東京湾から都心に向けて流れ込んだ涼しい海風が都心付近を通過するにつれて加熱を受けていることが判明。加熱された海風の内陸部への流入が、ヒートアイランドの形成の一因であると指摘した。
また、ヒートアイランド現象の主要因として考えられる「人工排熱」、「緑地減少・人工地表面の増加(土地利用)」、「空の見える割合の減少や地表面摩擦の増加」が、気温上昇にどの程度寄与するかを模擬分析によって評価した。
現状の人工地表面をすべて草地に置き換えた場合と、現状から建築物をすべて取り除いた場合を比較すると、日中は、緑地の減少などの土地利用変化に伴う気温の上昇が、建築物の増加に伴う上昇よりも大きかったが、夜間は、建築物の増加に伴う気温の上昇が、土地利用の変化に伴う上昇よりも大きいという結果が得られた。
この結果などから気象庁は、日中は緑地減少や人工地表面の増加により、蒸発散作用による冷却効果が弱くなることがヒートアイランドの形成に最も寄与し、また夜間は、建築物の影響により放射冷却が妨げられるとともに、日中に蓄えられた熱が放出されることがのヒートアイランドの形成に最も寄与するとまとめている。【気象庁】