一般財団法人環境イノベーション情報機構
15年度海洋環境モニタリング調査結果を公表
【地球環境 海洋汚染】 【掲載日】2005.09.22 【情報源】環境省/2005.09.22 発表
環境省は平成17年9月22日までに、「15年度海洋環境モニタリング調査」の結果をまとめた。この調査は、昭和50年度から平成6年度まで環境庁が実施した「日本近海海洋汚染実態調査」の結果を基礎として、従来から実施されていた水質、底質などのほか、海洋生物に蓄積される汚染物質濃度やプラスチック類漂流物の量を調査項目に加えて10年度から実施されているもの。
日本周辺の海域を3〜5年で一巡するように調査計画を立て、15年度調査では、大阪湾沖と沖縄本島南西沖で陸域起源の汚染を対象とした調査の試料を15年12月に採取した。
水質調査項目のうち環境基準が定められているカドミウム、鉛、総水銀、PCB、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、ダイオキシン類−−の6項目、底質調査項目のうち、基準が設定されている水銀、PCB、ダイオキシン類については全調査地点で基準値を下回っていることを確認。
沖縄本島南西沖では、水質・底質ともおおむね陸域からの影響は示唆されなかったが、大阪湾沖では、水質調査項目のうち、カドミウム、銅、ヘキサクロロシクロヘキサン、ダイオキシン類、底質調査項目のうち、PCB、ダイオキシン類、ベンゾ(a)ピレン、ブチルスズ化合物、カドミウム、鉛、総水銀−−などで、沿岸の測定値が沖合の値に比べて高いなど、陸域からの影響が示唆される結果が得られた。
また15年度は陸域起源の汚染調査以外に、紀伊半島・四国沖の廃棄物(汚泥など)投入処分海域での汚染調査、大阪湾沖でのPCB汚染詳細調査も実施。
廃棄物の海洋投入処分による汚染調査では、無機性汚泥投入処分海域底質でのブチルスズ化合物、フェニルスズ化合物の測定値と、有機性汚泥投入処分海域底質でのフェニルスズ化合物の測定値が、それぞれ他の地点より上回っていたことが報告されたが、海底付近の魚介類をヒトが直接摂取することがないことから、人の健康に影響を及ぼす可能性は低いとされた。
一方大阪湾沖でのPCB詳細調査でも、海底堆積物中のPCB濃度は底質のPCB暫定除去基準を下回っており、直ちに対策を取ることが必要なレベルではないことが示されたとされている。
(注1)水銀、PCBは暫定基準、ダイオキシン類は環境基準が設定されている。【環境省】