一般財団法人環境イノベーション情報機構
鳥獣による農林水産業被害防止策強化の方向性を提言 農水省検討会報告書
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2005.08.19 【情報源】農林水産省/2005.08.18 発表
野生鳥獣による農林水産業被害防止策強化の方向性を検討していた農林水産省の「鳥獣による農林水産業被害対策に関する検討会」は、平成17年8月18日までに報告書をまとめ、発表した。15年度の野生鳥獣類による農作物被害面積は約13万ヘクタール、被害金額は約200億円。被害金額を加害鳥獣の種類別に見ると、獣類ではイノシシ、シカ、サルの順で、鳥類ではカラス、スズメ、ヒヨドリの順で被害が大きくなっている。
今回の報告書は、野生鳥獣による被害防止対策を進めるにあたって野生鳥獣との共生を前提とし、「個体数調整」と「防護」を組み合わせた持続的な対策を、地域住民が主体となって実施していくことが重要であると指摘。
具体的な対策強化の方向性としては、(1)国、ブロック、都道府県、市町村のそれぞれが、関係機関・団体と連携を進めていくこと、(2)計画的な個体数調整・防護対策を可能とする「特定鳥獣保護管理計画(注1)」を策定し、的確に実施していくこと、(3)「被害防止対策」と「野生鳥獣保護管理」両面にわたる技術指導者を育成し、指導者による指導を展開していくこと、(4)有害鳥獣の生態・行動特性に基づく総合的な被害防止対策を確立していくこと、(5)被害防止現場への情報提供のための情報センター機能を構築していくこと、(6)地域の農林業従事者の自衛体制を整備すること、(7)捕獲鳥獣の肉などを地域資源として有効活用していくこと、(8)耕作放棄地の解消や適切な森林管理などを可能とする農林業の構造改革を推進すること−−の7点を示している。
(注1)地域的に増えすぎたり、減りすぎたりした鳥獣の個体群を特定し、個体数管理、生息環境の整備などについて、保護管理目標や目標達成のための方法を定める計画。【農林水産省】