一般財団法人環境イノベーション情報機構
ヒートアイランドが熱中症とエネルギー消費にもたらす影響を報告 環境省検討会
【環境一般 まちづくり】 【掲載日】2005.07.29 【情報源】環境省/2005.07.29 発表
環境省の「ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査検討会(委員長:尾島俊雄・早稲田大学教授)」は、ヒートアイランド現象が熱中症の発生とエネルギー消費にもたらす影響について報告書をまとめ、平成17年7月29日に公表した。このうち熱中症の発生については、東京都区部、東京都市部、川崎市、横浜市、名古屋市、大阪市、広島市の7地域について、1日のうち一定以上の高温を記録した時間数(日高温時間数)の増加と熱中症による救急搬送数の増加率の関係を調べた。
熱中症の発生が増加し始める気温は都市によって違うため、各都市の実態を踏まえ、川崎、横浜、広島では28℃、東京市部では29℃、東京区部と名古屋では30℃、大阪では31℃を日高温時間を算出する分岐点として計算。
その結果、7地域とも20年前(1980〜84年)に比べ、分岐点を超える日高温時間数が151〜199%増加していることが判明し、熱中症による救急搬送数は20年前より145〜232%増加していると推定された。
一方、ヒートアイランド現象がエネルギー消費にもたらす影響については、全国を9地域に分け、既存の統計資料などを使って各地域の気温とエネルギー消費の関係を調べたが、その結果、運輸部門や産業部門では気温上昇によるエネルギー消費への影響はほとんど見られないとされたのに対し、民生部門では家庭部門と、オフィスビルなどの業務部門の両方で影響があることが判明。夏季では気温が上昇するほど、冬季では気温が低下するほどエネルギー消費が増加していた。
また大阪を例にとった地域別の詳細調査では、郊外では通年でみると気温上昇の影響がほとんどないとされたのに対し、都心部では夏季のエネルギー増加がきわめて大きく、通年で評価しても気温1℃の上昇につき、最大2.5%のエネルギー増加が見込まれた。
検討会では今後も引き続き、都市の熱環境評価について基礎的な検討を進めていく予定。 【環境省】