一般財団法人環境イノベーション情報機構
航空機騒音測定式修正案を提示した報告まとまる 成田空港周辺の測定値異常きっかけに
【大気環境 騒音/振動】 【掲載日】2005.06.29 【情報源】環境省/2005.06.29 発表
航空機発着回数が大幅増加したにもかかわらず、騒音評価値が減少するなど成田国際空港周辺の騒音測定値に異常が指摘されていたことを受け、(社)日本騒音制御工学会が環境省の依頼で16年度に組織した「航空機騒音に関する評価方法検討委員会」は、17年6月29日までに航空機騒音評価方式についての調査報告書をまとめた。成田国際空港では14年4月に2本の滑走路が並行して走る「暫定平行滑走路」が供用され、以後航空機発着回数が1日350回から450回に大幅増加したが、周辺に設置された102局の騒音常時監視局の多くで、1本の滑走路だけだった時より騒音評価値が減少するなど、測定値異常が指摘されていた。
騒音測定値の年平均値で異常が起こっていたのは102局中2局だけだったが、月平均値、週平均値、日別値と測定期間が短くなるほど異常事例が増加。航空機騒音に関する測定の基本である週平均値については、39局で1本の滑走路だけだった時より0.1〜0.5デシベル分測定値が減少していたことが確認されている。
今回の報告は測定値異常の原因を、国際民間航空機関(ICAO)の提案した「加重等価平均感覚騒音レベル(WECPNL)」定義式を簡略化して現在の環境基準による騒音評価式を定めた際に、本来時間帯によって異なる音のエネルギー量平均値(パワー平均値)について、どの時間でも1日の平均値と同じと仮定したことで生じた誤差が原因であると結論。
対策としてICAOの定義式を尊重した6つの修正案が提示され、うち4案により数値上の異常が解消できると報告した。
なお検討委員会は17年度も検討を継続する方針で、今後は環境基準評価方法を現行のWECPNLから、国際的に普及しているエネルギーベースでの評価(累積騒音曝露値:LAeqなど)に見直す可能性について検討するとともに、今回の修正案を採用した場合の空港周辺への影響、現行評価との整合性について検討を行う。【環境省】