一般財団法人環境イノベーション情報機構
ツキノワグマ大量出没対策で報告書 広域保護管理体制の整備など提言
【自然環境 野生動植物】 【掲載日】2005.06.08 【情報源】環境省/2005.06.07 発表
平成16年秋に北陸地方を中心に、人の住んでいる地域にツキノワグマが大量出没した件について、環境省が実施していた原因究明調査の結果報告書が17年6月7日までにまとまった。調査結果によると、クマ出没が多発した地域は、クマの秋季のえさであるブナやミズナラの結実が不作だった割合が高い地域とほぼ一致していた。
このことから報告は、大量出没は、ツキノワグマの本来の生息域である高標高地でブナの実が凶作となった一方で、人の利用や手入れの度合いが減った里地里山がクマの好適な生息地に近づいた結果ではないかと分析。また集落周辺に存在している柿などの果実や、生ゴミもクマが近づく原因の1つになっていると指摘した。
さらに報告は大量出没対策として、(1)保護管理計画の作成、クマの生息状況・生息環境モニタリングの実施、大量出没予報システムの構築など、総合的な保護管理策の推進、(2)里地里山の手入れ、集落への出没ルートの遮断、草地の刈り払い、集落での生ゴミや放棄果樹の適正処理などのクマの出没誘因の改善、(3)出没を伝える広報体制整備や出没時の対応に関する普及啓発、危険予防・捕獲管理のための人材育成、(4)県をまたがる広域保護管理体制の整備−−などの取組みを提言している。【環境省】