「知床の世界自然遺産登録は妥当」　ＩＵＣＮがユネスコに勧告 　

【環境一般 その他(環境一般)】 【掲載日】2005.05.31 【情報源】環境省／2005.05.31 発表

　世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合（ＩＵＣＮ）がユネスコに、「日本が推薦している知床の世界自然遺産登録は妥当」と勧告していたことが２００５年５月３１日までに明らかになった。
　ＩＵＣＮは０４年７月に世界遺産候補地としての知床の現地調査を実施し、海洋環境保護策をさらに強化する必要があると指摘。日本政府は書簡で強化策の内容を回答していた。
　今回のＩＵＣＮの勧告は、７月に南アフリカのダーバンで開催される第２９回世界遺産委員会の基礎資料となるもので、知床を「冬に流氷が流れつく北半球で最も低緯度に位置する地域として、特異な生態系の生産性が見られるとともに、シマフクロウなど多くの希少種を含む海洋性・陸上性種、海棲哺乳類、海鳥類、渡り鳥類にとって特に重要な地域」と高く評価。
　ただし、日本が世界自然遺産登録の推薦理由に盛り込んでいた自然景観は登録基準に合致しないと退けたほか、日本政府に海洋環境保護強化を確実にする措置を登録後に実施するよう求める内容も勧告に含めた。
　日本政府が登録後に実施するよう求められた措置の内容は、（１）登録後２年以内の「海域管理計画」履行状況・遺産地域の海洋資源保全効果の評価実施、（２）「海域管理計画」の中での海域保全強化策と海域部分拡張可能性の明確化、（３）サケ科魚類へのダムによる影響とその対策に関する戦略を明らかにした「サケ科魚類管理計画」の策定、（４）遺産地域海域部分の境界線拡張手続確定後の地図送付、（５）観光客の管理など評価書に示されたその他の課題への対応−−など。【環境省】