一般財団法人環境イノベーション情報機構
「気温上昇、1850年比+2℃以下に」 中環審専門委員会の温暖化長期目標案
【地球環境 地球温暖化】 【掲載日】2005.05.20 【情報源】環境省/2005.05.20 発表
中央環境審議会地球環境部会の「気候変動に関する国際戦略専門委員会」(委員長:西岡秀三・国立環境研究所理事)は2005年5月20日までに、気候変動対策の長期目標の設定の考え方をまとめた第2次中間報告をまとめた。同委員会は、京都議定書に規定されていない2013年以降の温暖化対策の枠組みの検討材料を整理する目的で04年1月に設置され、同年12月に、将来の枠組みに反映すべき基本的な考え方、枠組みの制度面の検討結果をまとめた中間報告を公表している。
今回の報告書は、「自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準での温室効果ガス濃度安定化」という気候変動枠組条約の究極目標を達成するために、悪影響が及ばない気温上昇の範囲など、将来「長期目標」として設定すべき内容について科学的知見を収集し整理を行った。
検討の結果としては、「1850年頃と比較した気温上昇の度合いをプラス2℃以下に抑える必要がある」との長期目標案を提示。
国立環境研究所などが開発した「アジア太平洋地域における温暖化対策分析モデル(AIMモデル)」の予測では、プラス2℃以下に抑制するためには、2030年以降に温室効果ガスを475ppmの水準で安定化することが必要で、世界全体の全温室効果ガス排出量で考えると、2020年時点で1990年比10%削減、2050年で同約50%削減、2100年で同約75%削減が達成されないと、この水準での安定化はできない見込みだ。
なお報告書は更に、このような長期目標の決定は「科学的な議論だけで決定されるべきものではなく、国際社会での判断が必要」と指摘。日本の主導でこの目標を国際合意することをめざし、まずは国内で目標に関する議論を進展させるべきだとした。【環境省】