一般財団法人環境イノベーション情報機構
中環審、第6次水質総量規制の方向性を答申 自然の水質浄化機能を重視
【水・土壌環境 水質汚濁】 【掲載日】2005.05.16 【情報源】環境省/2005.05.16 発表
平成17年5月16日開催の中央環境審議会水環境部会で、16年2月26日に環境大臣が諮問した、第6次水質総量規制の方向性についての報告が取りまとめられ、同日中に環境大臣に答申された。水質総量規制制度は、人口・産業が集中する広域的な閉鎖性海域の水質汚濁を防止するために、昭和53年に「水質汚濁防止法」と「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正により導入された制度。
水質汚濁が問題となっている東京湾、伊勢湾、瀬戸内海に流入する各集水域ごとに、環境大臣が目標年度、発生源別・都府県別の削減目標量に関する総量削減基本方針を定め、これに基づいて関係都府県知事が削減目標量を達成するための「総量削減計画」を定めるとされている。
今回の答申は、「東京湾」、「伊勢湾」、「瀬戸内海のうちの大阪湾」で、貧酸素水塊(水生生物の生息に必要な酸素の溶け込み量が少ない水のかたまり)の発生により底生生物が生息しにくくなっている水域があり、その対策を進める必要があると指摘したほか、対策の方向性として東京湾、伊勢湾、大阪湾について(1)生活排水の高度処理、(2)事業系排水処理の最新技術動向に沿った総量規制基準の設定、(3)環境保全型農業の推進、家畜排泄物法に基づく管理、持続的養殖生産確保法に基づく漁場改善−−による農林水産系排水の改善、(4)雨水時の水質汚濁負荷を増加させる合流式下水道の改善−−などの汚濁負荷削減策を提示。
また、干潟や藻場など自然そのものが持つ水質浄化機能を重視し、(5)残された干潟の保全と失われた干潟の再生、(6)底質改善や貧酸素水塊発生原因の1つである窪地の埋戻し、(8)藻場の保全・再生−−も進めるべきとした。
これらの対策の目標年度は平成21年度とされている。
なお、答申を受けた環境大臣は同日中に、第6次水質総量規制の実施に向け、COD、窒素・りん含有量の総量規制基準の設定方法を、改めて中央環境審議会に諮問した。
環境省としては17年度内にこれらの基準設定法の答申をもらい、同年度内に第6次水質総量規制のための「総量削減基本方針」を策定したい考え。【環境省】
記事に含まれる環境用語
- 家畜排泄物法
- 干潟
- 環境保全型農業
- 漁場
- 合流式下水道
- 水質汚濁
- 水質汚濁防止法
- 水生生物
- 瀬戸内海環境保全特別措置法
- 生活排水
- 総量規制
- 藻場
- 窒素
- 中央環境審議会
- 底質
- 底生生物
- 内海
- 貧酸素水塊