一般財団法人環境イノベーション情報機構
美浜原発1号機のボルト破損・落下 ポンプ運転時の圧力と締め付け不足が原因
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.04.25 【情報源】原子力安全・保安院/2005.04.22 発表
関西電力(株)美浜原発1号機(加圧水型軽水炉、定格電気出力34万キロワット)で平成17年3月に、浄化した1次冷却水を1次冷却材系統へ再び戻すための「充てんポンプ」集合管カバーのボルト計4本が折れているのが見つかった件で、関電は17年4月22日に原因究明と対策に関する報告書を保安院に提出した。美浜1号機ではNo.1シリンダの集合管カバーのボルト4本のうち3本が折れ、ナットとともに落下していたほか、No.2シリンダの集合管カバーのボルト1本も落下はしていなかったが折れていることが確認されていた。
報告によると、ポンプのボルト全てについて浸透探傷検査を行った結果、No1シリンダの集合管カバーのボルト4本と、No2シリンダの集合管カバーのボルト3本のねじ部にきずを示す模様が、また破面観察の結果では金属疲労時特有の破面が認められ、さらにボルトが疲労損傷を起こす原因としては、ポンプ運転に伴う圧力変動によって、ボルトに金属疲労を起こすに足る力が働く可能性があることが確認された。
一方、ボルトの落下については、定期検査ごとに集合管カバーの分解・再組立てを行う際に再確認締めが行われていないと、締め付け力が不足する場合があることが判明。
このことを踏まえ、ボルトの破損は、ポンプの運転に伴いボルトに金属疲労を起こすに足る力が加わったこと、ボルトの落下はポンプ点検後の組み立て時に適正な締め付け力が確保されていなかったことが原因に推定されている。
なお対策としては(1)ボルトの締め付け力が確保されるよう、トルクレンチを使って段階的に締め付け、最後に再確認締めを行う、(2)締め付けの各段階ごとにトルク値を記録することを作業要領書に明記する、(3)ポンプのボルト全数を新品に取り替えた上で、改訂された作業要領書に基づきボルトの締め付けを行いポンプを復旧する、(4)今回のポンプと同タイプのポンプについて作業要領書を改定する、(5)トルクによるボルトの締め付け管理を実施している安全上重要な機器について、作業要領書や作業記録が適切であるか確認する−−などの内容が示され、報告を受けた保安院もこれらの原因と対策を妥当であると判断している。【原子力安全・保安院】