一般財団法人環境イノベーション情報機構
原子力安全規制へのリスク情報活用方針案への意見募集開始
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.04.22 【情報源】原子力安全・保安院/2005.04.21 発表
原子力安全・保安院は平成17年4月21日までに、「原子力安全規制へのリスク情報活用の基本的考え方」と題する報告書案をまとめ、この案について17年5月20日17時(必着)まで意見募集を行うことにした。この報告は確率論的安全評価(PSA)などのリスク情報を活用した原子力安全規制を開始するにあたって、総合資源エネルギー調査会に設置された「リスク情報活用検討会」が、現行規制の課題、現行規制へのリスク情報活用の位置づけ−−などの内容を整理するとともに、リスク情報活用推進方針、リスク情報活用に向けた取組み内容−−を示したもの。
このうち、各段階で細かい規制規則類を満足することにより原子力施設の安全確保を図る性格が強い現行安全規制の課題としては、(1)確保されている安全性の度合いが定量的に示されていない、(2)個別の規制規則類の安全性に関する余裕の度合いが示されていない、(3)各段階で安全性に関する余裕を別々に設定した結果、全体としてバランスが取れた余裕が設定されているのか明らかでない、(4)設計や運転の代替案が提示された時に、安全確保上どの程度重要であるかを定量的に示すことが困難、(5)現行規制がどの程度効果的・効率的かを定量的に説明することが困難−−の5点を指摘。PSAなど安全性に関する定量的で系統的な情報を規制に活用することは、原子力安全規制の科学的合理性を高めるために「極めて有益」とした。
一方、安全規制へリスク情報を活用する際の方針としては、(一)まずリスク情報を「参考情報」としての活用することから取り組み、その後、「重要な考慮要素」、または「規制根拠」として活用の程度拡大していく、(二)リスク情報の基盤となるリスク評価手法やデータ整備の検討、活用にあたってのコンセンサス形成を時間をかけて十分に行うとともに、可能な情報については速やかに活用していく−−ことを提示。
さらにリスク情報活用に向けた取組み内容としては、活用が可能な情報を速やかに活用していくために、活用項目の当面の選定基準を示したほか、活用に向けての中長期的な実施計画を策定し計画にのっとった継続的な取組みを行っていくこと、リスク情報を活用した規制実現のためのガイドライン作成に取組むとしている。
意見は郵送、FAX、電子メールで受付けている。【原子力安全・保安院】