一般財団法人環境イノベーション情報機構
15年度の「化学物質環境汚染実態調査」の結果を公表
【健康・化学物質 有害物質/PRTR】 【掲載日】2005.04.04 【情報源】環境省/2005.03.31 発表
中央環境審議会・化学物質評価専門委員会での審議を経て、平成15年度の「化学物質環境汚染実態調査(黒本調査)」の結果が17年3月31日までに16年度版「化学物質環境実態調査−化学物質と環境−」としてまとまった。「化学物質環境汚染実態調査」は昭和48年の化審法制定時に、制定時点ですでに製造・輸入済みだった既存化学物質の一般環境中の残留状況把握調査として開始された調査。
PRTR法やPOPs条約などに基づいた、新たな化学物質対策の方向性に対応するために14年に調査の進め方の見直しが行われており、現在は「化学物質環境汚染実態調査物質選定検討会」で選定された調査物質を対象に、(1)対象化学物質の環境残留状況把握のための初期環境調査、(2)ヒトや生物への対象化学物質の暴露量を把握するための暴露量調査、(3)POPs条約や改正化審法対象物質のうち、環境基準が設定されていない物質のモニタリング調査−−が実施されている。
このうち初期環境調査(注1)ではHCFC類など15物質(群)ののべ20物質(群)・媒体を調査し、うち水質から2物質(群)、底質から3物質(群)、水生生物からは1物質(群)、大気から3物質(群)を検出。
暴露量調査では7物質(群)のべ10物質(群)・媒体を対象とし、オクタブロモジフェニルエーテルが水生生物、2,4−ジニトロフェノールが水質、フェノールが水質、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)が底質と水生生物、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)が底質と水生生物から検出された。
またモニタリング調査では、POPsとヘキサクロロシクロヘキサン(HCH)、有機スズ化合物、テトラブロモビスフェノールA−−の計11物質(群)ののべ40物質・媒体(底質と生物は11物質(群)、水質と大気は9物質(群))を調査したところ、POPs物質(注2)については、アルドリンが鳥類で、トキサフェンが水質と底質で検出されなかったが、ほぼ全物質が水質、底質、生物(魚類、貝類)、大気から検出され、有機スズ化合物も底質、生物(魚類、貝類)いずれからも検出されるという結果が得られた。
(注1)昭和49年度からの調査結果での該当部分もあわせると、15年までに823物質(群)を調査し367物質(群)が検出されたことになる。
(注2)POPs物質はPCB類、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ドリン類、DDT類、クロルデン類、ヘプタクロル類、トキサフェン、マイレックス。【環境省】