No.041
Issued: 2003.02.06
バレンタイン、チョコあげるならフェア・トレードで
今年も近づいてきました。バレンタインデーが。会社で、学校で、心を寄せる人や日ごろお世話になっている人にチョコレートを贈る習慣は、日本ですっかり定着しています。そこで、今年もチョコレートを購入する予定の方、少しお耳を拝借。普通のチョコレートとは一味違う、「フェア・トレード」のチョコレートをご紹介します。
生産者のことまで考えて製品を選ぶ
「どうせプレゼントするなら、生産者の環境にも配慮した製品がいいと思って」―。東京・自由が丘でフェア・トレード商品を扱うショップ「People Tree」から小さな袋を抱えて出てきたYさんは、こう言って袋を開けて見せてくれました。袋の中には、板チョコが20枚以上。最近転職したYさんは、近況報告もあわせて、お世話になった方々にチョコレートを送る予定です。
Yさんが購入したのは、フェア・トレードのチョコレート。「公正な貿易」を意味するフェア・トレードは、途上国で生産された農産物や製品を、労働にみあった価格で購入すること。援助ではなく貿易を通して途上国を支援しようという運動です。
チョコレートの味について、「口どけの良さはゴディバ【1】に勝るとも劣らない」と、味にうるさいと自任するYさんも高く評価。以前に友人から贈られたフェア・トレードのチョコレートを食べて、その味わいのよさに感激、わざわざ埼玉県から足を運んだそうです。ちなみにPeople Treeで扱うチョコレートの価格は、50gの板チョコ(ビター)が一枚200円。同店を直営するフェア・トレード・カンパニー株式会社のエコロジー&フェア・トレード商品は、同店以外にも全国のフェア・トレード専門店や一部の自然食品店などでも販売されています。
買い物で途上国を支えよう
フェア・トレードの特徴は、途上国の生産者から、生産・製造コストを上回る価格で製品や農産物を購入すること。生産・製造方法も環境に配慮するなど持続可能な方法を採用しているところを選びます。市場価格に関わらず最低購入価格を保証する契約を結んだり、長期契約を結んで生産者の雇用を安定させる、あるいは前払いで支払い、設備投資資金を確保することもあります。
フェア・トレード運動は、1940年代にアメリカではじまったといわれています。その後、60年代にヨーロッパを中心に広がり、現在ではフェア・トレードの基準を定めてこの基準に合った製品を認証し、ラベル表示により差別化を図るための国際組織も設立されています。
スターバックスはフェア・トレードコーヒー豆を発売
大手企業でもフェア・トレード製品を扱う例はあります。そのひとつがスターバックスコーヒー。2000年にアメリカ国内でフェア・トレードのコーヒー豆の店頭販売を開始しています。日本でも昨年(2002年)10月から販売しています。これは、同社にフェア・トレードのコーヒーを扱うようキャンペーンを張っているアメリカの消費者団体「オーガニック・コンシューマーズ・アソシエーション」の声に応えて開始したもの。「オーガニック・コンシューマーズ・アソシエーション」では、スターバックスのこうした取り組みを評価しつつも、「店内で出すコーヒーにもフェア・トレードのコーヒー豆を使って」と働きかけています。
さて、今年のバレンタインはどんなチョコレートを贈ろうか頭を悩ませている方、チョコレートの種類は決まったでしょうか。「バレンタインデーにチョコレートをあげるという習慣そのものがむだな消費を生み出している」という批判の声もありますので【2】、贈る相手も「公正に」厳選することもお忘れなく。
- 【1】ゴディバ
- 高級チョコレートの有名ブランド
- 【2】
- 日本チョコレート・ココア協会の推定では、国内のバレンタインデーのチョコレート販売額は約520億円(2001年度)。これは、同年度のチョコレート国内消費額 約4500億円の約12%を占めることになる。
関連情報
- フェア・トレード・ショップ
「People Tree」 - バレンタインデーのチョコレート販売額
日本チョコレート・ココア協会
この記事についてのご意見・ご感想をお寄せ下さい。今後の参考にさせていただきます。
なお、いただいたご意見は、氏名等を特定しない形で抜粋・紹介する場合もあります。あらかじめご了承下さい。
(記事:土屋晴子)
※掲載記事の内容や意見等はすべて執筆者個人に属し、EICネットまたは一般財団法人環境イノベーション情報機構の公式見解を示すものではありません。